※デジタル友禅®︎はデジナ(株)の登録商標であり、そめもよう(同)、(有)マチダ、ユキヤ(株)にて制作販売をしております。
類似品にご注意ください。
そめもようは2013年12月に、東京都工芸染色協同組合「東京手描友禅」の青年部からの仲間で作った職人グループで、
私ユキヤは運営に関わっており、2022年4月にそめもよう合同会社になりました。
設立当初は女性ばかりで始まったこともあり、出産や育児で仕事のできない時期にも、商品を預かって販売したりアテンドを協力するといった、相互扶助的な目的を持って運営をしてまいりました。
2015年にユキヤの、2017年にそめもようのECサイトの立ち上げ、定期的なそめもよう主催での直販会開催などを通じ、エンドユーザーであるお客様と直にお話をする機会が増えてきた中で、
「もう少し手軽なセカンドラインがあった方が、もっと多くのお客さまに喜んでいただけるのではないか」
「高額品をどう売ろうかと考えるよりも、気軽に手に届く価格の商品を工夫して作った方がいい」
という発想がきっかけで始まったのが、
手描友禅をデジタル捺染で複製した「デジタル友禅」somepriシリーズ です。
デジタル友禅は、ゴフクヤサンドットコムを運営しているデジナ株式会社さんとの、共同開発商品です。
手描きの作品をスキャンしたり撮影したり、一緒に試行錯誤を重ねていきました。
絹以外のポリエステル素材を使用して、価格は手描きのおよそ5分の1から10分の1になりました。
手描きの作品との混同を避けることに、細かく注意を払っており、
商品の棲み分けは明確にすること、必ずロゴをプリントすること
図案はデジタル専用のデザインを描くこと を徹底しています。
商品売上の一部はデザインフィーとして作家に還元しています。
今までなら作家には作ったもの1枚に対して、1枚分の収入しか発生しなかったところを、
複数枚制作販売できるようになり、同じ労働量で収入が増えるようになりました。
東京手描友禅は、ほとんどの工程をひとりで行うため、一つ一つの技術を習熟することにとても時間がかかります。
練習や勉強はもちろん必要ですが、「実際に売る商品を作る」経験の積み重ねが、技術の向上に於いて大切であり必要です。
技術を次世代に伝えていくためにも、たくさんの仕事をこなせる環境が必要で、それがデジタル友禅の商品作りによって、維持できると考えています。
手描きの商品が売れなくなる怖さが最初はありましたが、お客さまには、手描きとプリントで全くの別物、という捉え方をしていただけていると思います。
まずは手に取りやすいもので認知していただくこと。これが非常に重要だと実感しています。
大量生産をして在庫をたくさん持つ商売は見直されています。
メーカーにとっては在庫負担を減らすことができて、かつ環境負荷を少なくすることができます。
その点も、一点ものを作る伝統工芸と、一点からの制作ができるデジタル捺染は、同じ長所があり、非常に相性が良いと感じています。
消費者にとってもメリットがたくさんあり、絹ではない手入れが簡単なポリエステルや天然素材で、安価で手に入り、他にはない作家ものを手にすることができます。
自分の買ったものがどういう経緯で作られたか考える方が、とても増えてきたと思います。
たくさんのものの中から選ぶのではなく、作り手と一緒に自分の欲しいものを無駄なく作っていく、環境にやさしい消費行動を選びたい方に、非常にマッチしていると思います。
伝統工芸の分野だけでなく小さな会社こそ、デジタル技術を駆使して、
コンパクトで環境にやさしいビジネスができると思います。
●まとめ
現在着物業界はリサイクル全盛ですが、残念ながら、二次流通はメーカーや技術者、作り手を助ける手立てにはなりません。
新しい商品が売れずに作れなくなると、メーカーは廃業して作り手は育たず、技術の継承もできなくなります。
一度途絶えてしまった技術というのは、また復活させようとすると本当に大変でコストがかかります。
手描友禅が産業として継続できるのか、はたまた趣味の領域になり一部が文化財として残るのか…今本当にその瀬戸際だと感じています。
このまま行くと東京友禅は産業としては成立しなくなると危惧しています。
伝統工芸を産業として継続させていくためには、この仕事で食べていける「プロ」を増やしていくことが必要です。
だからと言って、お客様の支援とか助成金に頼るのではなく、お金を出して買いたいと思ってもらえる、魅力あるモノづくりをしていくべきだと思います。
価格競争ではなくブランド力を上げることが必要になってくると思います。
それから作り手にとってこれは大事なことですが、自分の生活が苦しいと、本当に良いものは作れません。
職人は苦しんでいいものを作るといったイメージがありますが、そんな必要はなく、むしろ生活が充実し気持ちも豊かでなければ豊かな作品は作れないのです。
デジタルによって手仕事オンリーではできなかった今までにない方法で、マネタイズできます。
お金が回ることで新しいクリエイションの元手と、モチベーションになります。
デジタル友禅は、手仕事を存続させるために、デジタルを活用する取り組みです。
相入れないように見える伝統工芸とデジタル技術ですが、これを両輪で活用していくことによって、新しいコンテンツと価値提供ができるようになっていくと思います。
デジタル*友禅について
・手描友禅の作品を最新のデジタル捺染で複製
・本物の手描きの作品には及びませんが、今のデジタル技術でできることの最善は尽くします
・手作業で制作した作品のの数分の1の価格で気軽に着られる着物や帯が作れます
・原則的に手入れが簡単なポリエステルの素材を使用
・商品売上の一部を友禅職人さんに還元。1対1のものづくり以外のビジネスモデルを構築
2019/12/9
たとえば音楽はデジタル技術の進歩で
ダウンロードしていつでもどこでも気軽に楽しめる時代になりました。
その一方でライブやコンサート等、“生演奏”での興行市場は
この10年で3倍に増えているそうです。
職人さんが1点1点制作した手描友禅の着物はライブやコンサートなど、
わざわざその時間、その場所まで行かないと聴けない“生演奏”のようなもの。
対して、デジタルプリントの着物は
スマホにダウンロードしていつでもどこでも気軽に楽しめる音楽でしょうか。
デジタルだからこそ試せる気軽さや便利さ。
ライブでしか味わえない臨場感とか高揚感。
どっちもアリだと思います!
ちょっと試しにダウンロードした曲を毎日聴いてるうちに好きになって、
気がつけば、わざわざライブにまで足をはこんでいた。。
音楽業界でライブ等の興行市場が増えたのにはこんな理由もあるはずですが、
着物の業界でもこれに近いことができないかと考えたのが、
デジタル*友禅 企画のはじまりです。
詳しくはプロのライターさんに書いてもらいました。
よろしければ御覧ください。 そめもよう some-pri シリーズ発表のご案内