2019年12月13日
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2005年からデジタルプリントによる着物製作を手がけてきたゴフクヤサン・ドットコムが
若手友禅作家のオリジナルデザインをデジタルプリントで再現する
「 そめもよう some-pri 」シリーズを発売します。
デジタルプリントにいち早く挑んできたゴフクヤサン・ドットコムは、
デジタルプリントによる細かな柄や微妙な色の再現にこだわり、
プリント技術会社に意見やアイディアを出して、プリンターの進化にも貢献してきました。
その知識と経験の蓄積に注目した、若手友禅作家グループ・そめもようが、
手描き友禅の新しい可能性を模索したいと共同開発を申し出て始まったのが、
この「そめもようプリント」シリーズです。
先細りゆく着物業界において、織りや染めなどの技術をいかに次世代へと伝えるかは、
全国各地で考えられていることですが、業界全体のことだけでなく、
仕事が減っていく中で一人ひとりの職人の生活を支えるしくみをどう作るかも、
職人がいい仕事が出来る環境を作る=技術の向上という点で非常に重要な問題です。
ユーザーと作り手を直接つなぐグループとして、2013年に発足したそめもようのメンバーは、
友禅作家として作品を創るだけでなく、実際に催事などでエンドユーザーに接する機会が多く、
そこで肌身に感じたのは「エンドユーザーは作家物がほしい」「作家の技術に対して
『不当に高い』と思ってはいないが、収入は決まっており、
仕事に着ていく洋服や靴、流行のお店で食事をしたり旅行に行ったりと、
他にもお金がかかる中で買える価格設定がある」といった、
エンドユーザーの着物に対するニーズと金銭感覚でした。
普段着にかわいい着物がほしいというユーザー層は、
必ずしも絹などの天然素材にこだわりはなく、
むしろ手入れが楽で安価なポリエステルを洋服感覚で取りいれており、
中には「ポリエステルは発色がビビッドだから好き」という声もあるほど。
そめもようの作家・大野深雪らはデジタルプリントで作られた着物には、
デジタルプリントにしかない面白さがあり、それがユーザーたちを惹きつけていることに注目し、
その面白さと友禅作家のオリジナリティーや技法を組み合わせたら、
新しい面白いものづくりが出来るのではないかと考えるように。
作り手側の世界ではポリエステル=安物、駄物と蛇蝎のごとく嫌う風潮が根強い中、
友禅作家自身が一点ものではない、しかもポリエステル着物を手がけることで、
相当な風圧を受けることに迷いもありましたが、
気軽に作家物の魅力を楽しめるセカンドラインを作ることで、
1 エンドユーザーである着物ファンを増やし、
その中から「やがては本物を」というディープなユーザーが必ず生まれてくる
2 作家が1枚のデザインをすることで、
今までなら1枚に対して1枚分の収入しか発生しなかったところを、
数量限定であっても複数枚販売できるので、同じ労働量で収入が増えるという、
2つのメリットに期待し、まずは自分がトライしてみようと
ゴフクヤサン・ドットコムとタッグを組みました。
ゴフクヤサン・ドットコムではかねてから小ロット生産できる強みを活かし、
4000種類以上の柄の着物や帯をデジタルプリントで製作し、
かわいい着物、キッチュな着物を愛するユーザーたちから支持を受けています。
デジタルプリントが着物業界から白眼視されていることは理解しつつ、
『ポリエステルに印刷の着物なんてろくなものではない』という認識を変えていこうと、
試行錯誤しながらデジタルプリンターの進化とともに
つねに新しいデジタルプリントの表現に挑んできました。
大野から「友禅作家の着物をデジタルで」という話があったとき、
ゴフクヤサン・ドットコムでもようやく「これならば!」と自信が持てる、
ぼかしや筆致の再現が出来るプリント技術が完成した時期でもあり、
このタイミングで作家の作品を預けられたことは、
両者にとってまさに「今だったのだ!」と確信するものがありました。
「そめもようプリント」シリーズは、友禅作家が描いた柄を使った
飛び柄小紋の着物とポイント柄名古屋帯、半幅帯で構成されます。
柄の大きさや配置などは作家が監修し、ゴフクヤサン・ドットコムが制作します。
プリントものであることをエンドユーザーに対して明確にするため、
必ず「そめもようプリント」のロゴが入ったタグ、または落款を入れます。
またその作家の作品を好きになったユーザーに
「いずれは手描きの一点ものを」という憧れを維持してもらうために、
一定のルールを決めて商品の棲み分けを守ります。
なお、柄の版権 については友禅作家が持ち、使用料という形で
ゴフクヤサン・ドットコムからギャランティーが支払われるしくみです。
メインの価格帯は小紋着物5万円台、ポイント柄の名古屋帯3万円台、半幅帯1万円台です。
2019年12月より ゴフクヤサン・ドットコムおよび
各作家のオンラインショップ、催事などで販売を開始します。
賛否両論あるところだと重々承知しておりますが、
遊び着として気軽に着物を着るエンドユーザーを増やすことで、
必ず着物業界の未来に貢献する新しい取り組みであると考えております。
なにとぞよろしくお引き立てくださいますよう、お願い申し上げます。
工場のご案内 [デジナ]
2012年創業。ゴフクヤサン・ドットコムの生地プリントノウハウをベースに
ゴフクヤサン・ドットコム
新潟の着物整理工場
テキスタイルプリンターの開発会社
3社で共同で立ち上げた会社です。
小ロットプリントに特化したテキスタイル専門のデジタルプリントサービスをおこなっています。
2018年現在、約30台のテキスタイルプリンターが稼働中。
アパレルメーカーさんやクリエイター様のものづくりのお手伝いをしています。
プリント可能な生地:綿 麻 ウール シルク レーヨン ポリエステルなど